2011年4月22日 [ツーリング]

東日本大震災により被災された皆さまに心よりお見舞いを申し上げます。
被災地の一日も早い復興を祈念いたします。

震災から一ヶ月が過ぎ、被害の大きかった地域は、まだ大変な日が続いているが、東京で暮らす私は少しづつ日常を取り戻しつつある。

私が勤める会社は、IT企業でありメディアとしての側面も持っているので、地震の直後から震災に関わる情報を発信するため、24時間稼動の震災対応チームが発足し、私もアサインされた。

この一ヶ月の間は、ひたすら情報を集約・整理し発信を続けた(もちろん休日はちゃんとあったが)。

先日、震災対応の初動の役目を終えて任を解かれ、冒頭のとおり少しづつ普段の生活に戻りつつある。

濃密な業務から解放された反動なのか、震災直後より少しは落ち着いた日常を謳歌したく、4月17日のよく晴れた日曜の朝に独りで伊豆に出かけてきた。

目的地を伊豆にしたのは、震災の前に地元の先輩と伊豆へ行く約束をしていて、ツーリングプランを綿密に立てていたのだが震災で流れ、それを無駄にするのはもったいないなと感じた為。

ルートの計画を立てる際に先輩から出された条件が下記の3つ。

  1. 日本の滝百選の一つ、浄蓮の滝を見る。
  2. 堂ヶ島で遊覧船に乗る。
  3. ゴールは土肥で寿司を食べる。

自分としては混みそうな海沿いの道は走らずにワインディング、できればマイナーな山道を走りたかったので、そういう道を選び、リクエストを満たすルートを作成して先輩に伝えた。

それを骨子に、二人で喧々諤々してお互いが納得するコースを作る。こんなに時間をかけてツーリングコースを決めるのは初めての経験。

上記の経緯で綿密に計画したツーリングだったが、やむを得ず中止となってしまったので、作成したコースの完成度を確かめに独り行ってきた。

この週末は土日ともに予定は無い。

天気予報は、土曜は夏日。日曜はぐっと冷え込むとのこと。空冷乗りなら日曜一択。

少しでも早い時間に伊豆に入りたかったので、土曜のうちに実家の茅ヶ崎に移動することに。

エンジンに火を入れたのは1ヶ月以上も前のこと。完全にオイルが降りた状態では、さすがにキック一発ではかからず、セルを駆使してエンジン始動。

暖かい陽気の中、第三京浜を駆け抜けた。

日曜は、予報どおりの寒さ。十分に暖気を行いAM5:30に出発。

快適なスピードでR134を走る。西湘バイパス手前の大磯の海は、侵食されていない砂浜が大きく広がる貴重な景観。

夏の前のこの時期は、海が蒼くてとても綺麗だ。

西湘バイパスから箱根新道に入り、山登り。

ワインディングは、いつも気分を高揚させる。

ヘアピンをクリアする度に、気温が下がって行くのが分かる。

箱根峠まで行って県道20に入り、一路、伊豆スカイラインへ。

まだ6時を過ぎたばかりなので、ワインディングは貸切状態。

伊豆スカイラインの料金所で「冷川ICまで」と伝え、460円を支払う。

全線200円は3月31日で終わってしまったらしい。

峠と峠を繋ぐ誰も居ない舗装路に、前のめりに滑り込むも、気温は最高潮に低く、日曜の選択は失敗だったかなと脳裏をかすめるが、気持ちよく伸び上がる回転数に、「やっぱり、正しい選択だな」と独りごちる。

この日は、今までと比べてもエンジンの調子がすこぶる良い。

考えられる理由は、オイル交換をして最初のツーリングであり、キャブの設定が今日の気候と相性が良かったからではないだろうか。

富士山が綺麗でバイクを停めた。寒さで歯をガチガチ言わせて撮ったのが左の写真。

冷川ICの手前で、散り始めた桜の木が道沿いに等間隔に並んでいて、風が吹いているのか、視界を埋め尽くすほど花びらが舞っていた。その中を加速しながら駆け抜けるのは天国的だった。

伊豆スカイラインを冷川ICで降りて、県道59でR414を目指す。

この県道59は、赤松の林の中を走る寂れた山道で、雰囲気がとても良い。

R414に入るとすぐに、一つ目の目的地、浄蓮の滝へ到着。

誰も居ない石段を降りていくと、立派な滝が視界に入る。

澄んだ水を利用したワサビ田。

ここに来る間にもワサビ田はいくつもあり、伊豆が潤沢な水の土地であることがわかる。

311後、より貴重となった水。まさか水道水が汚染される時代が来るとはなぁ……。

浄蓮の滝を出発して、トリップメーターを見ると90mileを過ぎている。

そろそろリザーブタンクに切り替えないとガス欠をする頃だ。

こんな時に限って、道路標識に「旧道(old road)」というそそられるワードが出てくる。

リザーブタンク+携行缶の1Lで、普通に考えれば問題ないはずだが、早朝でガソリンスタンドがやっていなさそう。という不安が判断を鈍らせ、安牌(新道)を選択。

今調べてみると、旧道には石造りの旧天城トンネルがあったりと悔やまれる……。

新道を走り、ループ橋手前でエンジンストール。路肩に寄せてリザーブに切り替える。

そろそろガス欠と分かっていれば、ストールする前に切り替えれば良いと思われるが、私のタンクのコックが無茶苦茶固くて(なんか卑猥な表現だな)、プライヤーでないと回せないのだ。ピンゲルのコックに換えたいな。

しばらく行くとガススタンドがあり給油。

先輩とのツーリングプランでは河津桜を見る予定だったが、さすがに4月中旬は河津桜は終わりとのこと。

山肌にはソメイヨシノがいい感じで、スタンドのお姉さん曰く下田の方も満開とのこと。

下田街道から県道15に入り、松崎港を目指す。

伊豆半島の突端には行かずショートカット。これも予定通りのコース。

松崎港に出て、海沿いを走るR136に入り、次の目的地堂ヶ島へ。

ここで洞窟を巡る遊覧船に乗る。独りで。

駐車場に入り誘導のおじさんに「独り?」と聞かれ、土産屋のおばさんに「独り?」と聞かれ、券売のお姉さんに「独り?」と聞かれ、乗船の際に「独り?」と聞かれた。

彼らの仕事は、何名で来てるのかは重要なinputなのであろうから気にする必要はないのだが、短時間に随分聞かれたな。

独りで遊覧船に乗る三十路を過ぎた男は浮いていたんだろうなあ。楽しかったから良いのだけど。

遊覧船は、天然記念物に指定されている堂ヶ島の洞窟を巡るもので、際どい岩場や洞窟にも果敢に入っていく。

普段、独りでツーリングに行くと、バイクを降りて観光することってほとんどないが、こういう楽しみ方もありだな。

堂ヶ島を後にして、目当てのワインディングを走る為に、来た道を少し戻り県道59に入る。

川沿いを北上していくと、薄いピンク色と黄色の組み合わせに春を感じ、バイクを降りて写真を撮ってみた。

走る予定はなかったが、県道410は崩落のため通行止め。

県道59を直進すると、いい感じのワインディングが待ち受ける。

ここから、県道411のルートが今日一番のコースだった。景色のよい開けた峠と広い道。

見通しの良い高速・中速コーナーと直線が気持ちが良くて大満足。

このあと、先輩とのツーリング計画では、土肥に下りて温泉、寿司、泥酔で初日が終了。というコースであったが、今日はそこまでトレースするつもりはなく日帰り。

なので、R136を予定とは逆の東に走り、マイナーなワインディングへ向かう。

この道は、県道でもなく、ネットの地図もかなり拡大しないと表示されないのだが、全線舗装路のようなので、前から走ってみたかった道。

誰も居ないマイナーな山道は、長い枝や、落石が所々にあり、スピードを出しては走れないが、とても静かで走っているだけでリラックスできた。

リラックスしすぎて、アスファルトに流れ出た砂が覆うコーナーで「ズルッ!」と滑り、危うく転倒かと思ったが、グリップが戻り肝を冷やす。

途中、標識の無い分岐が不安にさせるが、勘が冴えていたらしく無事県道18号に出れた。

この後は、修善寺から県道80で峠を越えて海まで降りて、R135~熱海海岸自動車道(150円)~真鶴道路(150円)~西湘バイパス(0円)を走り、12時過ぎに帰宅。

早朝出発で、渋滞皆無の快適なツーリングだった。

綿密なツーリング計画は、予定どおりに目的を消化していく楽しさがある。

そして、半年振りぐらいのツーリングだったが、やはりバイクは良い。

【data】
総距離:27,261mile
ガス:156-166円/l

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  1. 4月 22nd, 2011 at 16:48
    Reply | Quote | #1

    やっと日常が戻ったという感じがひしひしと伝わるレポですね。
    今年は、久しぶりに朝晩は冷え込むGWとなりそうな予感がするほど、まだまだ冷え込みますね。体調管理にはお互いに気をつけましょうね^^
    そして、早く被災地の方々にも日常が戻ることを節に望みます。

  2. 4月 22nd, 2011 at 23:20
    Reply | Quote | #2

    >nightさん
    落ち着いたらツーリングに行くぞ。とずっと思っていたので最高でした。
    花粉が終わったこの時期は秋に次ぐ走りやすい季節ですね。
    なんか寒い日が続きますよね。この時期ってこんなに寒かったかなと、不思議です。

  3. GUM!
    4月 29th, 2011 at 21:57
    Reply | Quote | #3

    伊豆、いいですね~。参考にして足を運んでみたいです。
    そして、また東北に行きましょう。

  4. 4月 30th, 2011 at 03:55
    Reply | Quote | #4

    >GUM!さん
    伊豆かなり良かったのでオススメです。
    東北は、今こそ行かねばですね。

  5. きょうけん
    4月 30th, 2011 at 10:07
    Reply | Quote | #5

    はじめまして。

    コックですが、なかのスプリングをカットすることにより
    多少軽くなりますよ。

    自分のZも固くて、回すのに苦慮しましたが、
    カットによりスムーズに回るようになりました。

  6. 4月 30th, 2011 at 20:25
    Reply | Quote | #6

    >きょうけんさん
    はじめまして。
    おお。スプリングをカットですか。
    交換するしかないなあと諦めていたので、その前にチャレンジしてみます。
    アドバイスありがとうございます。

  7. 5月 5th, 2011 at 09:30
    Reply | Quote | #7

     自分も昨日友人のZ750ターボと一緒に走りました。
    ガソリンも満タンにして美味しい珈琲を飲みに行きました。
    そのうちブログに書きますね。
    コックは自分のも固くてリザーブの時になんか困ってましたが、分解清掃して注油したら嘘のように軽くなっています。

  8. 5月 7th, 2011 at 19:23
    Reply | Quote | #8

    >KAZさん
    Z750ターボいいですね!
    コックの弁の固着はけっこう頻発する事象なんですかね。
    分解洗浄、メンテナンス、一度もしたことなかったのでやってみます。

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