2010年4月13日 [ツーリング]

御柱祭という稀有な祭りに行ってきた。

私が御柱祭の存在を知ったのは大学時代のこと。

当時、毎年冬期休暇の2ヶ月間を長野県茅野市車山高原のホテルで住み込みのバイトをしていて、一緒に働いていた諏訪の老人が酒の席でこの地に伝わる木遣り唄を披露してくれたのがきっかけだ。

独特の節が印象的で、地元の友人に聞いたところ、諏訪湖周辺の人々にとって特別な祭りで唄うものだと教えてもらい、それが御柱祭だった。

そういえば、諏訪湖周辺の友人たちと会話をしていると何気ない会話の端々で御柱の話題が出てくることが多い。

それだけ彼らの生活に溶け込んだ文化の一つなのだろう。

そんな刷り込みも手伝って、七年に一度行われるこの祭りに何時かは行ってみたいと思っていたところ、上述の友人からチケットが一枚余ってるいると連絡をもらい、こ躍りしてZ1-Rに跨り行ってきた。

4/9(土)4時起床。辺りはまだ暗い中、岡谷の友人実家を目指し中央道で向かう。

甲府南インター辺りから、甲府盆地を見下ろすと、すり鉢の中が桃と桜でピンク色に染まっていて、かなり綺麗。

日差しが背中を照らし始めた頃に、南アルプスと八ヶ岳の間を突っ切っていたのだが、山の先端が黄金色に染まっていく様は、空気が澄んでいたからかとても美しく、雪が残った谷の細部に目を奪われる。

小淵沢をすぎた辺りで空気が切り替わり一層澄んだのが分かる。バイクでないと味わえないこの瞬間が好きだ。

バイクの調子がすこぶる良く、交換したベアリングが小慣れてきたのか、前後のサスの効果か、はたまたフロントタイヤのお陰なのか、以前よりも伸びが豊かで、走っていてとても楽しい。

ちょっと早く岡谷に着きすぎたので諏訪湖へ。

逆行の写真だけど諏訪湖が神々しい。祭りへの期待が高まる。

諏訪湖のあと、下諏訪の下社秋宮へ。境内には法被を羽織った氏子の姿がちらほら。

下社の周りは注連縄(しめなわ)、紙垂(しで)、提灯などで飾りつけられており、街全体で祭りを盛り上げているのが伝わってくる。

友人と合流してタクシーで木落とし坂に向かう。

タクシーを降りてから木落とし坂に向かう道はすごい人。

友人のご両親が早朝から場所取りをして頂いていたので、木落とし坂の目の前の絶好のポジションに座ることができた。

今回、有料席で見物したのだが、有料席のエリア内も場所取りをしなければ座ってみることが出来ない程の人口密度。有料席だからと昼前に来て、座ることができずにいる人が散見された。

当初、一人でマイペースに祭りに行こうと考えていたが、とんでもなく甘い考えだったことがわかった。

当日用意されていた3,000席の無料席は朝7時の時点で満席。それどころか午後には通行規制で木落とし坂に通ずる道に入れない事態になっていたようだ。

友人とご両親に感謝して青空の下、御柱仕様の日本酒などを飲みながらこの日1本目の秋宮4の御柱の到着を待つ。

(下社の御柱は3日間かけて8本の御柱が木落とし坂を落ちる)

そうこうしていると、秋宮4の曳き子たちが綱を引きながら坂を下りてきた。

柱の先端が坂の上に現れた時には曳き子たちは坂の下まで到達していて、元綱衆と呼ばれる黄色い装束の男たちと、梃子衆と呼ばれる赤い装束の男たちも現れる。

元綱衆は曳き子の統率だったり縄の引きと止めを調整。梃子衆は手に持った棒を梃子に柱の向きを調整する。

一番の見せ場だけに、各柱(各地域)は大弾幕などを出してセレモニーを行っていた。

そして、本場の木遣りも。

坂の上から聞こえる木遣りは、柱を囲む人たちの掛け声も加わって聴かせる歌声だった。

結構長いセレモニーも佳境にはいり、御柱の先端に刺さっていた御幣束(ごへいそく)を先に坂の下まで運ぶ。

そして落ちる柱に乗る男たちが準備をして、盛り上がりは最高潮に。

じりじりと御柱がせり出す度に会場は、まだかまだかとざわめく。

御柱には曳綱という柱を引っ張る綱と、追掛綱という柱の後ろに伸びる綱がある。

木落としをする時、後ろに伸びる追掛綱を木落とし坂の後ろにある支柱に結び(固定して)、追掛綱が張るまで曳綱を引っ張り御柱を木落とし坂からせり出させる。

そしてぴんっとはった追掛綱を斧取衆(よぎとりしゅう)と呼ばれる男が、一息に斧(よぎ)を振り下ろし断ち切ると、御柱は坂を滑り落ちる。

途中止まりそうになったが、元綱衆の活躍で最後はもの凄いスピードで落ちる。

無事に落ちた縁起物の御柱に群がる曳き子たちと、振り落とされずに最後までのった華乗りを囲み「よいさー、よいさー」と皆で大盛り上がり。

ひとしきり盛り上がった後、御柱は注連掛(しめかけ)までまた曳航する。

この日の二本目は、木落とし坂の上に移動して春宮1の柱を見送った。

いやー。いいものを見せてもらった。大満足。

その日の夜は、温泉に行った後に友人宅で大変なご馳走を囲んで痛飲。

旅先でこれ以上ないもてなしを受けて至福の時を過ごし就寝。

日曜日は天気が崩れる予報だったので、この日も4時に起床して帰路に着く。

一年前のGWはこの中央道の帰り道をトラブルで自走できずに悔しい思いをしたが、今回はトラブルなくいくらでも回るエンジンのフィーリングを楽しみながら東京へ。

以上が御柱祭の記録。

祭りの内容がメインになってしまったが、バイクの移動を含めた旅と祭りの記録。

今回お世話になった友人の記事 – 2010 御柱祭 下社 山出し
斧取衆(よぎとりしゅう)が追掛綱を斧で振り抜いた決定的瞬間の写真は圧巻

【data】
ツーリング距離:424km
燃費:16km/l
ガス:145円/l

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  1. 4月 14th, 2010 at 08:44
    Reply | Quote | #1

     御柱祭は是非一度は行ってみたい祭礼の一つです。
    母親がテレビで見ていたのをチラッと見ましたが壮絶ですよね。
    越中おわらの風の盆も是非行きたいんですよー笑
    祭好きな自分です(#^.^#)

  2. 4月 14th, 2010 at 08:48
    Reply | Quote | #2

    御柱祭に行ってたんですか!凄い人ごみだったんでしょうね・・・
    昔、ドライブに長野にって諏訪湖近くで蕎麦屋を探していると異常に渋滞するわ人が沢山歩いているわでうんざりして、結局中央道のSAで蕎麦食べてるときにその日が御柱際と知り納得してましたねw
    あれは、何年前~♪
    私的にはこの日曜日に左サイドカバーをオークションにて購入できたので、今週末にでも落下防止策を行ってつけようと思います(笑
    このサイドカバーについてきたエンブレムが希少のアメリカ仕様KZ1000 Z1-R表示になっているので、同じ物を仕入れようと策してます^^

  3. 4月 14th, 2010 at 11:31
    Reply | Quote | #3

    トラブルもなく往復できて何よりでした。
    昨年の悲劇を知ってるだけに。。(笑)

    それにしても勇壮な祭りですね。私はほんとにこの祭りの詳細を
    知りませんでしたので、楽しんで読みました。

    まるで行ってきたみたいな法螺をふけますよ。

  4. 4月 15th, 2010 at 08:38
    Reply | Quote | #4

    >KAZさん
    次回の御柱は是非!
    越中おわらの風の盆、今まで知りませんでしたが、情緒感溢れるお祭りですね。
    富山県はまたバイクで訪れたいので、絡めてみるのもいいかもと思いました。

  5. 4月 15th, 2010 at 08:38
    Reply | Quote | #5

    >nightさん
    御柱の時期の諏訪湖周辺は大変な混雑でしょうね。
    おお。ついにサイドカバーゲットですね。しかも「KZ」いいですね。
    私のは「Z」なので、やっぱりここは日本ですし、「KZ」でナチスの強制収容所を連想する人も少ないでしょうから「K」の一文字が欲しいなと思ってます。もう一つのエンブレム手に入ると良いですね。

  6. 4月 15th, 2010 at 08:39
    Reply | Quote | #6

    >ケビンさん
    トラブルとは無縁の旅はやはり気持ちが良いですね。
    ちゃんと動いてこそのバイクですから。
    勇壮な祭りですよね。40度近い坂を大木に乗って落ちるなんて尋常じゃないですからね。。

  7. 4月 15th, 2010 at 12:18
    Reply | Quote | #7

    一応、KZエンブレムを売ってるとこを見つけました!
    海外ですので、つたない語学力をネットの翻訳機能でカバーしつつ頼んで見たので成功したらお知らせします。
    いやいや、探せばあるもんです(笑

  8. 4月 16th, 2010 at 00:03
    Reply | Quote | #8

    >nightさん
    すごい! ちゃんと届いたら、こっそり教えて下さい。笑
    買いたい物を世界中から探し出し、国を跨いで距離を気にせずやり取りできる。インターネットって素敵。

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